東大生が語る、統計検定2級の概要と感想
こんにちは、ごんごんです。
3か月ほど前になりますが、統計検定2級を受験し、合格したのでその体験談を書こうと思います。
「統計検定ってどんな試験?」
「統計検定2級は就活やビジネスで役に立つ?」
といった疑問に答えたいと思います。
統計検定とは何か?
「統計検定」とは、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。
データに基づいて客観的に判断し、科学的に問題を解決する能力は、仕事や研究をするための21世紀型スキルとして国際社会で広く認められています。
日本統計学会は、中高生・大学生・職業人を対象に、各レベルに応じて体系的に国際通用性のある統計活用能力評価システムを研究開発し、統計検定として実施します。
統計検定HP( http://www.toukei-kentei.jp/about/ )より引用
上記にあるように日本統計学会が主催しており、中高生から社会人までを対象にした統計の全国統一試験です。
最近、「データサイエンティスト」や「ビッグデータ」、「AI」などの言葉がよく聞かれますが、そうした分野に興味がある人はこの統計の基礎知識が必要不可欠です。
統計検定は4級から1級まであり、2級と3級はCBTといって全国の定められた試験場でパソコン受験することが可能です。
CBT方式の場合は試験日もかなり融通が利き、終わった瞬間に合否もわかるのでおすすめです。
かく言う私も、試験の2週間ほど前にCBTで申し込みしました。
統計検定2級の試験範囲ですが、下のようになっています。
・データの分布
・1変数データ
・2変数以上のデータ
・データの活用
・推測のためのデータ収集法
・確率モデルの導入
・推測
・線形モデル
・活用
私の受験した印象としては、大学の教養科目の統計をやや優しくしたという感じです。
答えは選択式でやっかいな積分計算などはないため、確率などがわかれば高校生でも合格可能だと思います。
とはいえ、社会人でも上記の「標準偏差」や、「正規分布」などが自分で説明できない方がほとんどだと思いますので、統計検定2級を保有していると評価されると思います。
ちなみに、私は2級を合格しただけで同僚からは「データサイエンティストだな!」と一目置かれました笑


勉強方法
ここでは、私が勉強につかった問題集や参考書を紹介します。
メインで使用した問題集
基本的に日本統計学会公認の公式問題集をメインにやりました。
過去3か年分(計6回分)の過去問が収録されており、1周やると同じような問題が多いなという印象です。
勉強に要したのは毎日2時間を1週間程度です。
私は統計検定を受ける前にアクチュアリー試験で、確率・統計分野はすでに学習済みでした。
仕事や大学の専攻などで統計やデータを扱う方についてはそのまま問題集を解いていただいて問題ないと思います。
ただし、問題集の回答はわりと簡素なので自信ない方は下の参考書を併用してください。
オススメの参考書
文系で全く統計がわからない人や、仕事でもデータを扱ったことがないという人は先に参考書などを読んでから問題集に入った方が効率がいいと思います。
参考書を読む際は、概念がわかりづらいことも多いかもしれませんので1周読んだら、まずは問題集を解いてみてください。
解説と参考書に戻ってみると、なんとなくイメージが鮮明になってくると思います。
あとは問題を解きつつ、穴を埋めるという作業を繰り返してください。
①統計の王道教科書:「統計学入門(基礎統計学Ⅰ)」
私のお勧め参考書は「統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)」 (東京大学教養学部統計学教室)です。
東大の教養学部生(1~2年生)はこの教科書を使って統計の勉強をするのですが、統計の基本的な事項を網羅した王道の教科書です。
ちなみにアクチュアリー試験の統計分野も本書が指定教科書になっています。
②統計の初心者向け:「今日から使える統計解析 理論の基礎と実用の”勘どころ”」
統計自体がよくわからないという人は全体像をつかむために入門書から読むといいでしょう。
私が読んだ本の中では「今日から使える統計解析 理論の基礎と実用の”勘どころ”」という本がわかりやすかったです。
この本では、まず統計学とは何をする学問かにはじまり、正規分布がなぜ重要なのか、検定(正規分布、t、F、χ二乗)、区間推定や回帰分析などの統計の基本を難しい数式なしに理解できます。
また、非常にわかりやすく、丁寧な語り口なのでいわゆる教科書的な硬さはなく、初心者にオススメの内容です。
別記事にもう少し詳しくレビューしていますので参考にしてみてくださいね。
統計検定2級でビジネスへ応用できそうなこと
統計検定2級を合格すると、実ビジネスにどう役に立つでしょうか。
具体的な事例を考えてみましょう。
具体例①:アンケート調査などの信頼区間を求めることができる
2級の範囲には「区間推定」というものがあり、測定した値をもとに、「真の値」がどの区間に存在するのかを調べることができます。
例えば、「内閣を支持しますか」という質問を2000人に行い、回答は「支持」と「不支持」の2択で答えてもらい、支持が60%でした。
「支持率は60%!」と言い切ってもいいですが、「95%信頼区間を考えると、支持率は57.9~62.1%であり、過半数を超えています」といった方が説得力がぐんと増しますね。
具体例②:曜日の偏りを検定することができる
χ2乗検定を使えば、曜日や季節などで偏りがあるかということを調べることができます。
例えば、平日の売上高として次のようなデータがあります。
月曜:5万円
火曜:5万円
水曜:6万円
木曜:4万円
金曜:6.5万円
なんとなく、見た目上は水曜と金曜日が売り上げが高い傾向にありますが、これはたまたまなのか、曜日によって偏りがあるのかという判断が可能になります。
曜日に偏りがあれば、発注や人員配置について見直すという戦略を打つことができますね。
具体例③:回帰分析の詳しい説明が可能になる
回帰分析という言葉を聞いたことがあるという人は多いかと思います。
実際にエクセルなどでも簡単に回帰分析ができます。
ただし、分析の際に出てくる「相関係数」や「p値」、「自由度調整済み決定係数」などの意味はわかりますか?
このあたりの言葉がわかっていると、「その回帰分析は本当に意味があるのか?」ということが判断可能になります。
受験の結果
2級は6割以上が合格ラインですが、私は9割の得点ができ無事に合格できました。
受験後の印象としては、統計検定は実際にありそうなデータを使って問題が出されるので、より実践的な勉強ができました。
私は案内が来ませんでしたが、高得点(満点?)だと優秀者表彰もあるようなのでぜひ目指してください。
統計検定の優秀者って名乗れるとかっこいいですよね。
あくまで印象ですが、過去問よりも本番の問題は難しかったような気がします。
過去問ではだいたい満点行けるかなと思っていたのですが、少し怪しい問題がありました。
(それがCBTだからなのかはわかりません)
終わりに
今後はプラグラミングの義務教育化も始まり、統計分野は必須科目に間違いなくなります。
今のうちに統計分野について詳しくなっておくと、受験はもちろん社会人になっても役に立ちます。
CBTで気軽に受験ができるのでまずは参考書を買ってみてください。


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