重要な問題を先送りしてしまう心理を解説!行動経済学の双曲割引理論
こんにちは、ごんごんです。
あなたは次のような経験はありませんか?
- 重要な問題で対応が必要だが、ついつい後回しにしてしまう
- テスト前で勉強しないといけないのにいつもしない部屋の掃除をしてしまう
- 問題の本質的な解決策はわかっているが、臭いものにフタをするように対症療法で対応する
こうした行動は行動経済学の双曲割引という理論で説明されています。
今回はこうした現象や理論を解説し、合理的な行動を取るべく考察を行います。
行動経済学とは
少し回り道をしますが、行動経済学について説明をしておきます。
行動経済学は経済学の一分野で、最近は2017年に行動経済学者のセイラー教授がノーベル経済学賞を受賞するなど近年注目を集めています。
通常の経済学では、人々は合理的に行動することを前提に理論が組み立てられています。
経済学の世界では誰もがルールを守りますし、二日酔いで会社に来ることもありません。
でも、現実の世界では人間は不合理な行動をよく取ります。
こうした背景から、行動経済学は現実に即した、人間の不合理な行動原理を織り込んだ経済学です。
上で紹介したセイラー教授の研究例を1つ挙げると「メンタル・アカウンティング」があります。
メンタルアカウンティングとは心理的な会計仕分けといったような意味で、宝くじで100万円が当たったという例を考えてみましょう。
通常の経済学では、労働の対価として得た100万円と宝くじで運良く得た100万円は同じ価値と考え、あぶく銭も給料と同様に大事に使おうとします。
行動経済学では、宝くじで得た100万円は労働で稼いだ100万円よりも浪費しやすいと考えます。
実際に100万円が宝くじで当たったらあぶく銭として、パーッと使う方が多いのではないでしょうか。
そうした意味で行動経済学は現実世界に近い経済学と言えます。
目の前の事を重視してしまう双曲割引
さて、本題の双曲割引に入ります。
端的に言うと、双曲割引とは未来の価値を過小評価(過度に割引)し、現在の価値を過大評価してしまうことです。
言い換えると、「遠い未来のことは我慢できるが、近い未来のことは我慢できない」とも表現されます。
具体例をいくつか下記に出します。
具体例①:ダイエット中にお菓子の誘惑に負ける
ダイエットを成功させたいと強く思っている人がいますが、ダイエットには長い日数が必要です。
遠い先のダイエットに成功した価値よりも、目の前のお菓子の価値を過大評価してしまい、ついつい手が伸びてしまいます。
後から後悔してしまうこと間違いなしです。
具体例②:リボ払いでほしい洋服を買ってしまった
給料日前の金欠な時期、たまたま歩いていたら好みどストライクな服が売っていました。
在庫はそれなりにあり、給料日まで待っても問題はないはずですがリボ払いにて購入してしまいました。
この例に限らず借金をする際は将来の返済の大変さを過小評価してしまい、後々大変になってしまうというパターンが多いです。
具体例③:エクセル関数の自動計算エラーに気づいたが、めんどくさいので数値を手入力した
ビジネスであるあるですが、エクセルの自動計算が何かの表紙にエラーになることってありますね。
次回以降も使うファイルであれば、エラーを特定して修正すれば以降の作業が楽になるのですが、ついめんどくさくて数字を手入力してその場を乗り切ることはないですか。
次回も手入力の手間がかかってしまうだけでなく、手入力したことを忘れてオートフィルしてしまい、全く違う値が出ていることに気づかないというリスクもあります。
私はこれをやりがちです。
双極割引に負けないために
具体例を何点か上げましたが、思い当たるフシがあったのではないでしょうか。
では、こうした不合理な行動を防ぐためにはどうしたらいいのでしょう。
まずは、人間は不合理な生き物だと認めましょう。
目の前の誘惑に負けそうになるのは人間として当然だと認識することで初めて、自分を客観視することができます。
次に、成功体験を積み重ね、思い返しましょう。
過去に誘惑に打ち勝ち、歯を食いしばって耐え抜き、何かを達成した経験はありますか?
あればその経験を思い出し、中長期的な視野で戦略的に自分の行動や欲求を見直してみましょう。
冷静に自分を見つめてみると、ダイエット中にケーキを食べることでどれだけの余分な運動が必要になるかということがわかります。
最後に、ある程度の妥協は許容しましょう。
少し矛盾しますが、全てにおいて合理的な行動を取ることはかなりの負担になります。
合理的な行動をとったことでストレスが貯まり、心身に悪影響が出るということになれば、それはまさに不合理です。
冷静に自分の行動をみつめつつ、ある程度の妥協を許すことで中長期的に頑張ることが可能です。
まとめ
この記事で執筆したことを下記にまとめます。
・行動経済学は、人間の不合理性を織り込んだ現実に近い経済学である
・人は近い将来の価値を過大評価し、遠い将来の価値を過大評価する(双極割引)。
・双曲割引に負けないためには、①自分の不合理性を認識、②成功体験を思い返し冷静に判断する、③時には妥協も許容する
少しでも参考になったら幸いです。
行動経済学は非常に面白い理論が多いので、また紹介します。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません