アクチュアリー試験の生保数理に合格するまでに私が勉強したこと

こんにちは、ごんごんです。

今回はアクチュアリー試験の一次科目である生保数理についてです。
2020年度のアクチュアリー試験で、KKTとともに生保数理も合格したので筆を取り、勉強したこと等を記したいと思います。

一次試験について

アクチュアリー試験は一次試験、二次試験ともに12月の中旬に年一回のみ行われます。
一次試験は、以下の5科目があります。

一次試験の5科目
・数学
・生保数理
・損保数理
・年金数理
・会計・経済・投資理論(KKT)

これらの科目は一度に全部取りきる必要がなく、一つずつの受験でも大丈夫です。
基本的には5科目一気に受かる人はほとんどいないでしょうから、毎年1~2科目ずつ受験して合格を積み重ねていくのが大事です。
もし5科目を1年で取得したら業界でもかなり有名になれると思います。
(ほかの年度はわかりませんが2020年度はいました。)

ちなみに、一次試験はどれも制限時間3時間、合格ラインは基本的に6割以上です。
一次試験の受験順番については、一般には下記のように言われています。

・数学→損保数理(あるいは両方)
・生保数理→年金数理(あるいは両方)
・会計・経済・投資理論の受験はいつでもOK

私もこの順番での受験、もしくはに賛成です。

生保数理について

この章では、簡単に生保数理の試験概要を説明します。

合格率

生保数理の19年間(2001~2019年)の合格率平均は21.1%となっています。
直近の2020年試験の合格率はまだ発表されていません(2021年2月時点)が、難易度は高くなかったためおそらく2019年と同様に30~40%の合格率はあるのではないでしょうか。

アクチュアリー試験の合格率の周期性は定かではありませんが、2年連続合格率が30%以上となったと仮定すると、2021年は少し難易度を上げるというのが自然な気がします。

試験範囲

生保数理の試験範囲について、2020年の試験要領では下記のようになっています。

・利息の計算
・生命表および生命関数
・脱退残存表
・純保険料
・責任準備金(純保険料式)
・計算基礎の変更
・営業保険料
・実務上の責任準備金
・解約その他諸変更に伴う計算
・連合生命に関する生命保険および年金
・就業不能(または要介護)に関する諸給付
・災害および疾病に関する保険

アクチュアリー会の指定教科書

アクチュアリー会の指定教科書は、二見隆著の「生命保険数学」上下巻(日本アクチュアリー会発行)です。

指定教科書の上下巻

この指定教科書はAmazonなどでは販売をおそらくしていないので、アクチュアリー会のHP(リンク)から購入が必要だと思います。
上下巻が各2500円です。

実体験を踏まえた勉強方法

ここからは私が実際に行った勉強方法などを記していきます。

参考書について

生保ストラテジー

いわずと知れた、アクチュアリー受験研究会がアクチュアリー受験者のために執筆した参考書です。
生保数理の試験に最適化してあるので、受験者でまだ持っていない人は買うべきです。

アクチュアリー受験研究会代表MAH (著), 西林 信幸 (著), 寺内 辰也 (著), 山内 恒人 (監修)

後でも述べますが、ストラテジーの問題は典型的な問題を概ねカバーしています。
まずはすべて簡単に解けるレベルにまで持っていく必要があります。

また、公式集もまとまっていて、過去問を解いていく際の復習に役立つでしょう。

(参考)アクチュアリーのための生命保険数学入門

基本的には指定教科書と生保ストラテジーがあれば試験の合格という点では問題ないと思うので、あくまで参考という扱いです。
アクチュアリー会の指定教科書ではないですが、参考書籍の欄にこちらの本も紹介されていますリンク)。

京都大学理学部アクチュアリーサイエンス部門 (編集)

ちなみに、私は使ったことないので細かい内容はわかりません。
(参考書を読むことで違う角度からの解説が妙に腹に落ちることはあると思います。ただ、合格に必須かと聞かれると、必須ではないかな)

アクチュアリー受験研究会のワークブック

アクチュアリー受験研究会のワークブックも一部で用いました。
ワークブックとは、アクチュアリー受験研究会の会員(無料)の人が限定で閲覧・ダウンロードできる、過去問を分野別に切り分けた問題集です。

過去に受験された方が解答もアップロードしているので、模範解答よりも実践的な解答に触れることができ、非常にためになります。

それなりの分量があるため、時間があれば一通り解くに越したことはないでしょうが、時間の制約があれば無理に取り組まなくて大丈夫だと思います。

私自身も苦手分野(チルメル、就業不能)の演習のためにピンポイントで利用をしました。

本番までの勉強イメージ

生保数理は2019年度に受験して、不合格Ⅱになっていました。
2019年度は生保数理に加えて、損保数理、KKTも受験したので、完全なキャパオーバーで演習が全く足りていないことが敗因でした。

2019年

2019年はざっくり100時間程度をかけて、教科書の読み込み、ストラテジーの問題演習を行いました。
全範囲が終わるのが本番直前で、過去問演習は6~7年分しかできなかったと記憶しています。

非常に間抜けな話なのですが、過去問演習する際もその年の合格率を見ずに解いていたのでビッグウェーブの2012~2013年あたりで合格点をクリアして、「よし、もう生保数理は大丈夫だな!」と思ってしまいました。
当然穴だらけかつ、難易度の把握もできていなかったので、チルメル式などのちょっと難しめの小問で時間をかける割に正解にたどり着かず撃沈しました(アホです)。

2020年

2020年度は懲りずに生保数理のほか、損保数理、年金数理、KKTの4科目受験をしたので、生保数理の勉強を始めたのは8月ころでした。
8~9月中旬までは毎日時間は充てられなかったのですが、隙間時間を見繕ってストラテジーの問題を解きつつ、公式などを思い出したりしました。
おそらく勉強時間は週に数時間だと思います。

9月後半から過去問演習に入りました。
具体的には3時間測って解くのではなく、1週間で1年分くらいを解いていくことにし、Twitterでスパルタ生保数理というアカウントを立ち上げました。

この方式にしたのは、①他の科目の勉強時間の兼ね合いから3時間かけての演習が難しい、②1人で演習を進めるよりも他の受験生と切磋琢磨した方が気づきややる気につながる、という理由のためです。

本アカウントでは、2019年~H19年度までの13年分を2か月強で網羅することができました。
いつも複数名が解答を送付してくれ、私としても毎日演習(更新)をしなくてはというモチベーションにつながりました。
(ご参加者の方にはまことに感謝しています)

こうして13年分の演習のうち、難しかった問題や間違った問題は間違いノートを作成しておき、12月に入ってから総復習を行いました。
全部を解きなおすわけではないので、総復習自体の時間はそこまで取られません。
間違いノートの作り方は時間があればどこかで書きたいと思います。

試験の配点と時間配分

典型的な出題は、問題1(小問)、問題2(中問)、問題3(大問)という形式です。

問題1と問題2は同じような形式の問題ですが、問題2の方が配点が高く、(1)~(3)のように小問が集合している場合もあります
問題3は2つの大問で構成されることが多いです。

例えば、2019年の生保数理過去問では以下のような問題構成と配点になっています。

  • 問題1:小問6問 × 4点 = 24点
  • 問題2:中問8問 × 7点 = 56点
  • 問題3:大問2問 × 10点 = 20点

点数配分を見るとわかりますが問題2の配点が非常に高く、ここをいかにとれるかが重要になってきます。
また、逆説的ですが一見簡単そうな問題に見える難問がちりばめられていることも多く、難易度を把握して取捨選択が必要になってきます。

問題3は、難しい年度もありますが、誘導が丁寧に作られていることが多いので、意図を汲んで少なくとも部分点を取りに行くことが必要です。
大問対策としては教科書を読み直す(完全年金のようにそのまま出るケースも多い)、教科書の章末、過去問の大問演習が有効かと思います。

目標点数について、私は問題1と2で8割、問題3で5割を目安に取り組んでいました。(2019年の配点なら74点相当)
配点を意識することで、本番でも残りどれくらいの問題を完答しなければいけないかがわかるため、取捨選択がしやすくなります。

時間配分については個人差があると思いますが、私は問題1と2を1時間半で終わらせるペースを直前の過去問演習で心がけました。
問題3もだいたい20分×2問 = 40分あれば終わるので、見直しの時間が 30分以上は取れるようにしています。
特に生保数理は立式はできても数値が選択肢と合わないということがあり得ますので、見直しの時間は残しておくべきです。

その他

上では書ききれない少し細かいことをここからは書いていきます。

生保数理は焼き直しの問題が多い

生保数理の過去問演習を始めるとわかると思いますが、生保数理は過去問の焼き直しや類題の割合が非常に高いです。
例えば損保数理では、毎年のように新傾向問題が出題されていますが、生保数理では新傾向問題がほとんど出題されません。
(損保数理の試験範囲が拡大しているのに対し、生保数理の試験範囲が過去と変わっていないことに起因しているのか、生保数理という学問固有のものなのかわかりません)

したがって、過去問演習がほかの科目以上に重要になります。

難化するためにはある程度パターンが絞られる

上述のように試験範囲が変わっていない中で、合格率を一定の水準にキープするためにはトレンドとして難しくしていくしかありません。
仮に試験委員の立場で考えると、生保数理を難化させる場合にはあまり選択肢はない気がします。

手っ取り早く思いつくのが、チルメル、分割払い、連続払い、就業不能、連生、貸付、転換、年金原資、災害・疾病などの要素を含めた問題を作ることです。
このあたりの分野は、受験生が後回しにしていることも多く、適度に受験生をふるいにかけることができると思います。

上にあげた分野で「出題されたらいやだなー」と思う範囲がある場合は、ワークブック等で集中的に演習を積むといいと思います。

最終的には公式は完全暗記

生保数理は、覚えるべき公式(と多数の記号)がたくさんあります。
試験までにはストラテジーの公式集に乗っているような基本公式はすべて覚えて臨むべきでしょう。

公式集をひたすら読み込んで暗記するというよりは、演習の中で自然と身に着けていくということが重要だと思います。
問題集や過去問演習を通じて、すぐに公式が頭に思い浮かぶくらいにまで持っていきましょう。

分割払いなどの少しマイナーな公式は演習問題がそこまで多くないので、直前でもいいのでチェックしてから試験本番に臨むといいでしょう。

知っておくと役に立つかもしれない変形

ここでは大問などでここまで出題されていて、覚えておくと便利かもしれない式変形について記載します。
必須ではないと思いますが、大問で出題されると得点源になりますし、小問・中問で出題されると初見では対応できない可能性もあります
丸暗記というよりは式変形方法を眺めておく程度でいいかもしれません。
うまくアクチュアリー記号を用いて数式が書けないので、字が汚いですが画像ファイルを貼っておきます。

①H27年問3(1)の式変形

生保数理の確認しておくべき式変形その1

大問の中でこの式変形が出題されたのですが、私は初見でできませんでした。
解答は下記のようになっていて、2行目から3行目に至る変形が上記となります。
Cを階差にして変形していくのがポイントですね。

②H29年問3(1)の式変形

生保数理の確認しておくべき式変形その2

こちらも大問の中で登場しました。
式変形するならば展開して画像左下のようにするとわかりやすい気がします。

ちなみに問題設定と回答は下記のようになっており、途中式が省かれているので私は理解に時間がかかってしました。
教科書をまじめに読んでないですが、式変形書いているのでしょうか。。。

おわりに

5科目を一通り勉強して(受かってない科目もありますが)、生保数理はKKTの次に典型問題が多く、演習量が点数に直結しやすい科目という印象です。
過去問を演習しつつ、ある程度余裕ができれば難化の際に用いられやすい、チルメル、分割払い、連続払い、就業不能、連生、貸付、転換、年金原資、災害・疾病などを、徹底的に潰しこみすることで合格がかなり見えてくると思います。

少しでも参考になれば幸いです。